灰を被らないシンデレラ



気味の悪さは残るが、ひとまずこれで憂の行動が制限される事も減るだろうと思うと少しは気持ちが晴れた。

が、まあそんな簡単に柊の中で話が終わるはずもなく傷が治るまでの1週間はほぼ軟禁生活だった。

バイトやサークルは勿論のこと食材調達の買い物ですら許されず、荷物の受け取りも宅配ボックスか置き配のみといった徹底ぶり。

心配をかけた手前憂も強くは反発できずに言われた通り従っていたのだが、とうとうバイトまで辞めさせられそうになった時にはさすがに抵抗し、柊の言うところの色目を使って何とか残りの1ヶ月をやり切る許可をもぎ取った。



「なあ、憂」


そして軟禁生活最終日。

明日からは日常に戻るのだが、今夜は柊の要望で寝ずに待っていて欲しいとの事だったので昼間のうちに少し仮眠を取り、遅くに帰ってきた柊を迎え入れた。






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