灰を被らないシンデレラ



その日はお菓子教室の日だったので、軽く身支度を整えて出発時間までの間で柊の食事を作っておいた。

いつ起きてくるか分からないのでラップをかけて冷蔵庫に入れておき、料理についての簡単なメモを書いてそこに貼っておいた。


そろそろ出発時間だからと寝室を覗けば柊はぐっすりと寝入っていた。

余程疲れているのだろう。


「柊さん、私行ってくるね」


起こすのは忍びないが、約束を守らなければ後で不貞腐れそうなので小さく声をかけて軽くキスをした。


「おー…」


起きているのか無意識なのかわからない返事を聞き、憂は静かに家を出た。







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