灰を被らないシンデレラ



「香里が気にする必要なんて無いよ。私だってあの人があそこに居るなんてびっくりしたし」


相変わらず、何故あの場に耕介が居たのかは謎のままだ。

憂はSNSを全くやらないので私生活を公表などしないし、あの男がやりとりをしていた人物が仮に知り合いだったとしても、そもそもそんな事をされる理由が思い当たらない。


「それなんだけどさ、そのストーカーに情報教えた人が一番危なくない?」


友人という事もあり、香里にはより詳細を伝えていた。
そのせいか香里は憂以上に最初からこの事に疑念を抱いているようだった。


「なんだっけ、情報開示とか請求できるんでしょ?それで誰かわからないの?」
「うん。捨てアカだったみたいで全部デタラメだったって」
「そっか…もちろん憂の行動パターン知ってるのも怖いけどさ、そもそもなんで憂なんだろう?」


さすが鋭い目の付け所だ、と憂は身を固くした。

憂達の通う大学は内部進学に比べ、外部からの入学はかなりの狭き門になる。
そこに地方から上京して入学してきた香里はまず間違いなく頭が良い。

憂は当事者なのでもちろん気にはしていたが、改めて他人から言われると余計に怖く感じる。





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