灰を被らないシンデレラ
ビシッと手のひらを向けて柊を制し、憂は素早くエプロンを外して外出の支度を整えた。
行ってきますとリビングに向かって声をかけて、足早に家を出た。
外に出れば少しは気が紛れて気持ちが落ち着くと思った。
さっきの咄嗟に取ってしまった行動を思い出しては頭を左右に振る。
疑ったら駄目だと言い聞かせ、気持ちを切り替えて近くのスーパーへと足を運んだ。
今日はお互いに用事が無い。
久しぶりに二人でゆっくり食事が出来る。
少し凝った料理にしてみてもいいかもしれない。
頭の中を必死で回転させながら材料を選び籠へと入れていく。
お皿もひとまず今日は安いものでいいだろうと百円均一のお店で同じくらい大きさのものを適当に買った。
思っていたより時間のかかってしまった買い物を終えて自宅マンションのエントランス付近まで帰って来た時、その姿が目に飛び込んできた。