ヤンキー高校のアリス

夏休みの恋

※ ※ ※

夏休みが来る憂うつとは対照的に、まぶしい太陽が夏を主張し始める。
しばらく学校とはお別れだ。もちろん、あの三人とも。

「いい夏休みを過ごしてね」

 わたしは彼らにそう声を掛けた。三人は三人とも、それぞれの返事をした。

「夏休みの間も会わない?」
 これは千住くん。
「勉強会したい」
「いいよ。……お昼だったらあいてるから、いつでも連絡してね」

「どこかデートしたいな」
 これは八王子くん。
「デート、デートってほどたいそうなものじゃなくていいんだけどな……?」
「じゃあ水族館に行こう」
「水族館?」
 お母さんに、GPSを持たされる未来が見える……。


 そしてるいくんは。
「夏祭り、迎えに行くから」
 そういえば、るいくんはわたしの家を知っていたんだっけ。
「待っててくれよな」
「うん!」

 家に居るときは窮屈だけど、意外と賑やかな夏休みになりそう。
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