ヤンキー高校のアリス
※ ※ ※


「るいくん、わたし決めたよ」

病院から出たわたしは、るいくんに宣言した。

「麗華と決着をつける」

「……本気で言ってるのか?」
「うん。わたしにできることがあるとしたら、それしかないと思う」

 麗華先輩と決着をつける。それは、【クイーンオブハート】との敵対を示す。他学年の女子全員を敵に回すということで、――学校全体を、敵に回すということ。
「るいくんが入学式でやったようなことを、わたしもやろうと思う。……麗華に対して。学校全体に対して」
 
 わたしは八王子くんの痛々しい姿を思い出した。重傷だって。あんなに軽口をたたいていたけど、体中ボロボロだった。

「だってこんなのがまかり通るのはおかしい」
「……うん」
「わたしは、この学園を変えたい」
「うん」
「そのために……」

 わたしはるいくんを見上げた。

「るいくん、トップを取ってきてほしい」
 るいくんは驚いたように目を見開いたけれど、やがて歯を見せてにやりと笑った。

「はじめてのわがまま、確かに聞いたぞ、ありす」
「うん。……これは生半可な気持ちじゃないよ、るいくん」
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