未来へ進む三つの絆

第10章:「新しい友情と試練」



次の日、沙樹は学校で修と手をつないで歩くことに少し慣れてきた。彼との関係が公になったことで周りの視線は感じていたものの、修の隣にいることが沙樹にとっては何よりも安心できる場所になっていた。教室に入ると、クラスメイトたちが温かい眼差しで二人を見つめているのに気づき、沙樹は少し照れながらも微笑みを返した。

「沙樹ちゃん、修くんと本当にお似合いだね。」

クラスメイトの一人がそう言ってくれた。その言葉に沙樹は胸が温かくなり、修もまた優しく頷いた。「ありがとう」と素直に言える自分が、少しずつ強くなってきていることを感じていた。

昼休み、美咲が沙樹の元にやってきた。「一緒にお昼ご飯、食べない?」と誘われ、沙樹は快く応じた。美咲とはこの前の会話以来、さらに距離が縮まったように感じていて、一緒に過ごす時間が心地よかった。

二人は学校の中庭に向かい、ベンチに腰掛けた。美咲は笑顔で沙樹にサンドイッチを手渡しながら、「沙樹ちゃん、本当に頑張ったよね。自分の気持ちに向き合うのって、簡単じゃないのに」と話し始めた。

沙樹はその言葉に感謝しながら、美咲に向かって微笑んだ。「美咲ちゃんが応援してくれたから、私も勇気を出せたんだ。本当にありがとう。」

美咲は少し照れたように笑い、「いやいや、私も沙樹ちゃんからたくさん学ばせてもらったんだよ」と言った。その言葉を聞いて、沙樹は改めて美咲との友情がこれからも大切なものになると実感した。

しかし、その後、二人の前に新たな試練が訪れることになる。放課後、修が部活に参加している間に、沙樹は突然、別のクラスの男子生徒から話しかけられた。

「君が沙樹さんだよね?ちょっと話したいことがあるんだけど……」

その男子生徒は少し緊張した様子で沙樹に近づき、何かを伝えようとしていた。沙樹は困惑しながらも立ち止まり、「どうしたの?」と声をかけた。彼は真剣な表情で、「僕、実は修のことが気に入らなくて……君に彼と離れてほしいんだ」と言い出した。

その言葉に、沙樹は驚きと共に胸が痛むのを感じた。修のことをよく思っていない人がいることに戸惑いを覚えたが、それでも修のことを思う気持ちは変わらなかった。

「ごめんね、でも私は修くんが大好きだから、そんなことはできないよ。」

沙樹は毅然とした態度でそう答えた。その瞬間、彼女の中にあった迷いが消え、自分の気持ちをしっかりと持っていることを再確認できた。男子生徒は少しがっかりしたようだったが、「分かったよ」と言ってその場を去った。

その後、修が戻ってきて、沙樹が少し落ち込んでいるのに気づいた。「沙樹、大丈夫?」と心配そうに尋ねた。沙樹は微笑みながら、「うん、大丈夫だよ」と答えたが、その言葉の裏には修との関係を守る決意が込められていた。

「何かあったら、僕に何でも話してね。僕たちは一緒だから、どんなことでも乗り越えられるよ。」

修のその言葉に、沙樹は再び安心感を得た。彼と一緒なら、どんな困難も乗り越えられるという強い気持ちが胸に広がった。そして二人は手をつなぎ、学校の門を出て行った。夕陽が二人の背中を優しく照らしていた。
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