未来へ進む三つの絆

第13章:「新たな挑戦」



沙樹と修は、お互いの夢に向かって少しずつ前進していた。勉強会や放課後の時間を共に過ごしながら、二人は日々の努力を積み重ね、未来のために自分たちの力を磨いていた。そんな中で、沙樹にとって大きな挑戦が訪れることとなる。

ある日、学校でキャリア講座が開かれ、様々な職業の専門家たちが来校して講演をする機会があった。その中に、福祉に関わる仕事をしている講師がいた。沙樹はその講演に強く惹かれた。講師の話を聞くうちに、自分が人の役に立つ仕事をしたいという気持ちがさらに強くなり、福祉という道に興味を持ち始めた。

「福祉の仕事って、人に寄り添うことがすごく大切なんだって感じたの。私も誰かの力になりたい。」

放課後、沙樹は修にそう話した。修は驚いた表情を見せたが、すぐに笑顔になり、「沙樹ならきっと素敵な福祉の仕事ができると思うよ。人の気持ちに寄り添える優しさが君にはあるから」と力強く言った。その言葉に沙樹は胸が温かくなり、自分の夢に向かってもっと頑張ろうという気持ちが湧いてきた。

その後、沙樹は福祉についてもっと学ぶために、地域のボランティア活動に参加することを決めた。週末に行われる児童館でのボランティア活動に参加することで、子どもたちとのふれあいや支援の大切さを肌で感じることができると考えたのだ。

「沙樹ちゃん、ボランティア活動に参加するんだって?すごいね!」

美咲は沙樹の決断を心から応援してくれた。沙樹は美咲や修からの励ましを受けて、自信を持って一歩を踏み出すことができた。初めてのボランティア活動の日、沙樹は少し緊張していたが、子どもたちの笑顔に触れることで、自分がここで何かできることがあるのだと強く感じた。

「こんにちは、一緒に遊ぼう!」

沙樹は笑顔で子どもたちに話しかけた。初めは少し戸惑っていた子どもたちも、次第に心を開いてくれた。その中の一人の男の子が、沙樹に手を差し出しながら「お姉ちゃん、絵を描いて!」と言った。その純粋な頼みごとに、沙樹は心からの笑顔で応じ、一緒に色鉛筆を使って楽しそうに絵を描いた。

ボランティア活動を終えた帰り道、沙樹は修にその日の出来事を嬉しそうに話した。「子どもたちが笑ってくれると、私もすごく幸せな気持ちになったの。やっぱり人の役に立てることって素敵だね。」

修は沙樹の話をじっと聞きながら、「沙樹、君がそんなに喜んでいる姿を見て、僕も嬉しいよ。これからもずっと応援するから、一緒に頑張ろうね」と優しく言った。その言葉に、沙樹は胸がじんわりと温かくなり、修との絆をさらに強く感じた。

翌週、沙樹はさらに福祉の知識を深めるために図書館で資料を集め始めた。修も勉強の合間に沙樹を手伝い、一緒に福祉に関する本を探してくれた。その時間は二人にとって、とても充実したものだった。修は沙樹の夢を支えながら、自分も教師になるために一生懸命に勉強していた。

「僕たち、それぞれの夢に向かって一歩ずつ進んでるね。」

修がそう言って微笑むと、沙樹は力強く頷いた。「うん、私たちなら絶対に叶えられるよね。一緒に頑張ろう。」

二人の間には、これまで以上に深い信頼と愛情が生まれていた。それはどんな困難が訪れても、必ず乗り越えられると信じる気持ちだった。沙樹と修は、互いに励まし合いながら、それぞれの夢に向かって一歩一歩進んでいった。
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