未来へ進む三つの絆
第8章:「心の選択」
数日後、沙樹は自分の気持ちを整理しようと決心した。修に対する思いが何なのか、自分の心の中にある答えを見つけたい——そんな強い気持ちが沙樹を突き動かしていた。学校の授業中も、昼休みも、修と話している間さえも、その思いが頭を離れなかった。
放課後、沙樹は一人で校庭のベンチに座り、深呼吸をした。夕暮れが近づき、空は淡いオレンジ色に染まっていた。そんな中、沙樹は自分の心に問いかけた。
「私は、本当に修くんのことが好きなのかな……?」
心の中に問いかけると、これまで修と過ごしてきたたくさんの瞬間が思い浮かんできた。彼の優しい笑顔、一緒に笑い合った時間、手をつないだ時の温もり——すべてが沙樹にとってかけがえのないものであり、それがただの友情以上のものであることを、沙樹は感じていた。
そのとき、ふいに修の声が聞こえた。「沙樹、こんなところにいたんだ。」
沙樹が顔を上げると、修が心配そうにこちらを見ていた。彼は沙樹の隣に座り、「何かあったの?」と尋ねた。沙樹はしばらく黙っていたが、思い切って自分の気持ちを話すことにした。
「修くん、私ね……ずっと自分の気持ちが分からなくて悩んでたの。でも、今はっきりと分かった気がする。私、修くんのことが好きなの。ただの友達じゃなくて、もっと特別な存在として……。」
その言葉を口にした瞬間、沙樹の胸にあった重たいものがすっと消えていくのを感じた。修は一瞬驚いた表情を見せたが、次の瞬間には穏やかに微笑んだ。
「沙樹……ありがとう。君がそんな風に思ってくれてたなんて、すごく嬉しいよ。」
修はそう言って、沙樹の手を優しく握った。その手の温かさが沙樹の心に深く染み渡った。沙樹の告白に対して、修もまた自分の気持ちをしっかりと伝えようとしてくれていることが伝わってきた。
「僕も、沙樹のことが大切なんだ。君といると、自然に笑顔になれるし、安心できる。だから、これからもずっと一緒にいられたらって思ってる。」
修の言葉を聞いて、沙樹の胸は温かさで満たされた。自分の気持ちを伝えたことで、二人の間にある絆がさらに強くなったのを感じた。修の瞳に映る自分の姿を見つめながら、沙樹はこの瞬間が永遠に続けばいいと思った。
その日の帰り道、二人は手を繋いでゆっくりと歩いた。風が優しく吹き抜け、夕暮れの空が二人の上に広がっていた。沙樹は修と共に歩む未来を思い描きながら、これからも自分らしく、彼と共に成長していきたいと心から願った。