忍ばせ恋慕 前世でメリバした二人の今世の恋は?
「陽葵ちゃんさ、良かったら此処で働いてみない?看板娘やってくれると嬉しいんだけど」
そう緩やかボイスで咲名を誘ってきたのは、喫茶店「茶々介」のオーナーの春。
春は、優しい笑顔に、ふんわりとした喋り方をする、とても和やかな男性だ。
咲名は今、春特性の咲名用ブランドココアを頂き、学業の疲れを癒していた。
白兎高校からの通り道にあるこの店に、咲名はよく通っている。
「是非、働かせて下さい」
ここ最近の、激しく揺れる感情を少しでも鎮める為にも、働いて気を紛らわす方法は最適かもしれない。
時間が空くと、厄介な事に舞と透夜の事を思い浮かべてしまう。
「ありがと。一応、親御さんの許可もとってからまたお返事くれるかな。大事な娘さんをお預かりする訳だからね」
「はい、分かりました」
*****
「ど、どうですか?」
「よく似合ってるよ陽葵ちゃん、うん、可愛い」
喫茶『茶々介』のロゴが入りの桃色のエプロンを身につけ、気恥ずげにしている咲名。
「あ、ありがとうございます。頑張って働きます。色々とご指導の程、宜しくお願いします」
「こちらこそ宜しくね。あ、そうそう、もう一人雇った子が居てね、ちょうどもうすぐ来ると思うから紹介するね、俺の妹の友達で、陽葵ちゃんとも同い年の男の子だよ」
「そうなんですね、仲良くなれるでしょうか」
「心配しなくても大丈夫だよ。その子も陽葵ちゃんと同じで、とても良い子だから。もしかしたら、どこかですれ違ってたりするかもしれないね、陽葵ちゃんと同じ白兎高校の生徒だから」
カラン、とカウンターベルが鳴る。
そこに立っていた来訪者二人に、咲名は春に向けていた笑顔のまま固まった。
「ちょうど来たね。紹介するね、妹の舞と、今日から陽葵ちゃんと一緒に働いて貰う、龍崎透夜君。透夜、この子は」
「陽葵咲名さん、だろ」
「あれ?知り合いだった?」
「俺と舞と、同いクラスの子」
透夜と春が会話を交わす中、感情の揺らぎは解消される事はなく、余計に揺さぶられる事になりそうだと、咲名は静かに悟っていた。
「これから宜しくね、陽葵さん」
まろやかな笑顔で挨拶され、咲名も歓喜で殺到しそうになる。
透夜の笑顔など、前世でも拝んだ事がない。
前世の自分の厄介感情が喜びで興奮するのが分かる。
咲名は必死に自分を宥め、震えそうな声を根性で我慢し、何くわぬ笑顔を纏ってみせた。
「こちらこそ、宜しくお願いします、龍崎君」
そう緩やかボイスで咲名を誘ってきたのは、喫茶店「茶々介」のオーナーの春。
春は、優しい笑顔に、ふんわりとした喋り方をする、とても和やかな男性だ。
咲名は今、春特性の咲名用ブランドココアを頂き、学業の疲れを癒していた。
白兎高校からの通り道にあるこの店に、咲名はよく通っている。
「是非、働かせて下さい」
ここ最近の、激しく揺れる感情を少しでも鎮める為にも、働いて気を紛らわす方法は最適かもしれない。
時間が空くと、厄介な事に舞と透夜の事を思い浮かべてしまう。
「ありがと。一応、親御さんの許可もとってからまたお返事くれるかな。大事な娘さんをお預かりする訳だからね」
「はい、分かりました」
*****
「ど、どうですか?」
「よく似合ってるよ陽葵ちゃん、うん、可愛い」
喫茶『茶々介』のロゴが入りの桃色のエプロンを身につけ、気恥ずげにしている咲名。
「あ、ありがとうございます。頑張って働きます。色々とご指導の程、宜しくお願いします」
「こちらこそ宜しくね。あ、そうそう、もう一人雇った子が居てね、ちょうどもうすぐ来ると思うから紹介するね、俺の妹の友達で、陽葵ちゃんとも同い年の男の子だよ」
「そうなんですね、仲良くなれるでしょうか」
「心配しなくても大丈夫だよ。その子も陽葵ちゃんと同じで、とても良い子だから。もしかしたら、どこかですれ違ってたりするかもしれないね、陽葵ちゃんと同じ白兎高校の生徒だから」
カラン、とカウンターベルが鳴る。
そこに立っていた来訪者二人に、咲名は春に向けていた笑顔のまま固まった。
「ちょうど来たね。紹介するね、妹の舞と、今日から陽葵ちゃんと一緒に働いて貰う、龍崎透夜君。透夜、この子は」
「陽葵咲名さん、だろ」
「あれ?知り合いだった?」
「俺と舞と、同いクラスの子」
透夜と春が会話を交わす中、感情の揺らぎは解消される事はなく、余計に揺さぶられる事になりそうだと、咲名は静かに悟っていた。
「これから宜しくね、陽葵さん」
まろやかな笑顔で挨拶され、咲名も歓喜で殺到しそうになる。
透夜の笑顔など、前世でも拝んだ事がない。
前世の自分の厄介感情が喜びで興奮するのが分かる。
咲名は必死に自分を宥め、震えそうな声を根性で我慢し、何くわぬ笑顔を纏ってみせた。
「こちらこそ、宜しくお願いします、龍崎君」