今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
すると、見事にMattのドレスを着こなし一際綺麗な女性が現れた。

紅羽だ…
あの紅羽だ…

宮野紅羽はあの一夜を過ごした紅羽だった。

心臓が飛び跳ねるほど嬉しくなる。
また会えた。

でもそれは俺だけだったようで、彼女は俺に連絡も寄越さず、こうして遭遇した事に気まずそうな表情を見せた。

そうだった。
俺は捨てられてるんだった。

でも俺はこのまま終わらせたくない。
それは、一人の女性としてもパタンナーとしても。

ますます彼女を手放したくなくなる。

あの見事な仕事をしてみせたのが、俺の惚れている紅羽だったなんて…。

どうにかこうにか繋ぎ止めたい。
逃がしてたまるか。

そして紅羽を呼び出せば、それは仕方なさそうにこちらへ向かってきた。

無視はしないようだ。
< 101 / 288 >

この作品をシェア

pagetop