今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
「マットさん。桑田っす」

「桑、ちょっと待ってね」

誠は私を見てクスッと笑った後立ち上がりドアを開けた。

「すいません。サンプルできたんすけど…」

「そっか。桑、紹介する。ダニエルの後任の宮野紅羽さんだよ」

「あ、彼女が噂の。どうも、桑田雅紀(くわたまさのり)です。縫製担当してます」

「初めまして。宮野紅羽です。よろしくお願いします」

「噂って?」

誠が桑田さんに聞く。

「いや、もうフロア中もちきりっすよ。すんげー美人のパタンナーが来たって」

「ははは。それはそれは。妬けるなぁ」

「んなっ!?」

この人どこまで本気なわけ!?

「マットさん。もしかして…」

「今絶賛口説いてるんだ。桑、紅羽ちゃんはダメだからね」

「ほー。そりゃ残念」

なんて桑田さんまでそんな事を言って笑っている。

「紅羽さんも一緒にどうすか?」

「え?」

「そうだね。せっかくだから一緒に行こう」
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