今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
縫製担当の人たちもいつの間にか私たちを囲んで見ている。

私は気にせずその場でパーツの手直しをしていく。
他は今のままで全然大丈夫そうだ。

「うん。いいね」

誠も満足そうに頷いている。

「マットさん、紅羽さんすごいっすね」

「だろ?」

いやこのくらい…

でもやっぱり誠のデザインするものはどれも素敵で、もろ好みだ。
だからイメージもしやすいのかもしれない。

そしてその日は他のサンプルも見せてもらい、誠が指示を出すところを見たり頼まれれば手直ししたりとあっという間に一日が終わってしまった。

帰りもまた誠に送ってもらう。

「お疲れさま。来月からなのに結局いろいろ仕事させてしまったね」

「ううん。楽しかった」

「なら良かった」

「それじゃ…」

そう言って車から下りようとするとふと手を掴まれた。
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