今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
「…まぁ、はい、まだ初日ですから。引き継ぎ書もありがとうございます。一通り目を通したので、仕事に取り掛かりますね」

そう言って私は何とか顔に笑顔を作り奥の作業台に移動した。

直視出来ない。
心臓が破裂しそうだ。

今からこの部屋で一緒に作業するんだから、しっかりしなさい。
そう自分に喝を入れる。

「何かあったら何でも聞いてね。俺、今日は自分の部屋で仕事するから」

え?
てっきり一緒に作業するのかと思っていた。
違うんだ…

何をガッカリしてるのよ!
紅羽!

「あ…はい…わかりました」

「それじゃ」

誠はそう言って行ってしまった。

避けられてる。
そう思った。

明らかに態度が今までと違う。

一線を引いたようなそんな感じだ。

やっぱり私の事はもう…
あの時の彼女が本命…

だめ。
余計な事はここでは考えるな。

< 164 / 288 >

この作品をシェア

pagetop