今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
「行くよ」
「いやだ。行かない」
「ほら。行くよって」
そう言って誠は私を無理矢理立たせる。
ここで駄々をこねたら変に目立つか…
酔った頭でもその辺は考えられる頭脳は残っているらしい。
私は渋々立ち上がり、幹事の人の所まで行く。
「すみません。私先に帰ります。今日はありがとうございました。楽しかったです」
「あ、いえ。また、また今度飲みましょうね! お疲れ様でした! 紅羽さん帰るってよー!」
「紅羽さんまた来週ー!」
皆んなは笑顔で見送ってくれた。
誠は側で冷静な顔をして私を見てるけど無視する。
「はい。また来週からよろしくお願いします。それじゃ」
そう言って私は誠に頼らず一人で歩くもよろめいてしまう。
ピンヒールのせいだ。
まったく。
するとすかさず誠に腕を支えられてしまう。
ヒューっと歓声が上がる中、私は聞こえないふりをして誠と店を出たのだった。