今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
「紅羽ちゃん」

名前を呼ぶも返事がない。
ふと隣を見ればなんと紅羽は寝ていた。

おい。

人がどれだけ…

はぁ。

なんなのこの子。
この状況で寝る?

一気に気が抜けてしまう。

さすがに笑うんだが。

可愛い。

俺、重症だ。

「紅羽ー。起きろー。俺んちに連れてくぞー」

「んー」

返事した。

どっち?
いいの? ダメなの?

もういいや。

俺の中の何かが切れた。

連れて帰る。

「起きたら覚えとけよ」

それには返事がない。

ダメだ。
完全におねむちゃんだ。

「まこ…と…」

名前を呼ばれハッと紅羽を見る。

いや、寝てんのよ。

はぁ。
もうまじでなんなの。

信号待ちでまた紅羽を見る。
気持ちよさそうに寝ちゃってよ。

ハンドルに顔を当てて変わらずバクバクしている心臓の音を聞く。



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