今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
「紅羽ちゃん」

誠に呼ばれ顔を見る。

「俺はさっきも言った通りだよ」

カァっと赤く染まる私の頬。
バクバクと心臓が忙しく動いて呼吸が浅くなる。

「あの…私…」

私も誠となら未来を描ける。

「いいよ、無理しなくて。結婚願望ないもんな」

その言葉を聞いて胸が痛んだ。

そっか…
元カレとの事を知ってるから…


「誠……



結婚しよう、私たち」


「え?」

「だから。結婚しよう」

「ちょ、ちょっと待って紅羽」

「私、誠となら結婚したい。明るい未来しか見えない」

すると誠はテーブルに肘をついて、手で目元を覆ってしまった。

耳が心なしか赤い。

「なんだよそれ…」

小さな声で呟く誠。

「紅羽ちゃん。わかった。わかったけどちゃんと俺から改めてプロポーズさせて」

手を目から離した誠は私を見てそう言った。





< 202 / 288 >

この作品をシェア

pagetop