今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
紅羽の瞳から大粒の涙が溢れる。

「はい…。よろしく、お願いします」

そう言って左手を差し出した。
俺はそこに出した指輪をはめる。

紅羽はその指輪をちゃんと見て驚いた顔をしている。
たぶん脳内で金額に予想がついたのだろう。

「こ、こんなっ高っ…つ、付けれない!」

「でも紅羽が付けてくれなかったら、タンスの肥やしになるだけだよ?」

「んなっ!?」

「なら付けてくれる?」

「はい。喜んで」

「良かった」

紅羽はまたドレスに目をやる。

「どうかな。気に入った?」

「うん…とても。こんな素敵なドレス初めて見たよ」

「着てみてくれる?」

紅羽が頷いたので俺は手伝いをする。

「誠これって…」

「俺がパターン作った」

「やっぱり…凄い」

久しぶりにパターンをおこしたけど、やっぱり俺は紅羽と一緒にしたいと思った。

でもこれだけは自分でしたかった。
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