今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
そしてスタッフに案内されてドアの前にパパと並んでスタンバイするとまもなくアナウンスが流れてドアが開かれた。

ヴァージンロードの先には、純白のタキシードに身を包み銀色の髪を輝かせこちらを見て佇む誠がいてバッチリと目が合った。

誠は私を見るなり目を大きく開いている。

パパと目を合わせてゆっくりと一歩ずつ、しっかりと前を見て進む。

そして誠の前まで辿り着くと、パパから誠へ私の手は引き継がれた。

「マットくん。よろしくな」

「はい。お任せください」

そのやり取りを見ているだけでジワっと目頭が熱くなってしまう。

誠はガッシリと私の手を握り引き寄せ隣へと並ぶ。

「綺麗すぎて、言葉も出ないよ」

そっとバリトンボイスの艶めかしい声で囁かれる。
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