今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
「うん。もう大丈夫だからね」
「ありがとうっ…」
俺は紅羽を抱えたまま開いたままのドアを閉める。
幸い他に人はいないみたいで良かった。
「それにしても…、誠って怒ると怖いね」
「そうだった?」
「うん」
それは困ったな。
怖がられたくない。
「今も怖い?」
「今は怖くない」
ホッと胸を撫で下ろす。
俺は紅羽に嫌われる方がずっと怖い。
「なら良かった」
チュッとキスをし、微笑み合う。
俺の奧さんは可愛いな本当に。
「私までスッキリしちゃった!」
そう言ってまた笑う。
これで九条の排除も済んだし、やっと穏やかに過ごせる。
紅羽の笑顔は何があっても俺が絶やさない。
そう心に誓ってまたキスをした。