今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
そして死に物狂いで無事に三人目を産んだ。

気絶しそう。

意識が…
朦朧とする。

誠や看護師さん達が私に必死に声をかけているけど、聞こえない。

話せない。

眠い…

私はここでついに意識を飛ばしてしまった。

ピッピッという電子音が鳴り響く音で目が覚めた。

「ん…、誠」

誠は椅子に座って長い脚を組んで下を向いて寝ている様子。

名前を呼ぶとすぐに顔をあげた。

「紅羽! 大丈夫か!?」

「うん。ごめんね? もう大丈夫」

「貧血と、軽い過呼吸だったみたいだ。ありがとな、頑張ってくれて」

そう言ってちゅっとキスをされる。

「赤ちゃんは?」

「今、看護師さんが沐浴してくれてる。元気だよとても。また俺にそっくりの男の子だったぞ」
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