今夜だけのはずが極上の彼に愛されて
「あははは」

とりあえず笑う。
気まずい。

「俺、連絡来るかなーって待ってたんだけど。BARにも来ないし」

ギクっと肩をすぼめてしまう。

「俺ってさ…もしかしてやり捨てられた系?」

「ちがっ!」

わないか。

「いろいろあったし…、仕事も楽しいし。今は一人がいいかなって」

よし。
ちゃんと言えた。

そして彼を見れば無表情のまま私を見下ろしている。

あれ?
聞こえてないやつか?

「それならさ…」

あ、聞こえてたのね。

「紅羽ちゃんの気が変わるまではさ、大人の関係って事で…どうだろ」

「そんなの…」

そんな都合のいいように出来ないよ。
それでもなぜか私の心臓はずっと高鳴っている。
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