執拗に愛されて、愛して
あの人とも寝たんだなと思うと何とも言えない気持ちになってくる。


「夏帆ちゃん、グラス空になってるよ。何飲む?」


少し外していた玲くんが戻ってきて声を掛けてくれた。

会話から意識が逸れる。

だけどなんだかもう飲む気分でも無くなってきた。


「うーん、もう帰ろうかなって」

「え、もう?珍しいね」


少し驚いた顔をしている玲くんに笑って鞄を持って立ちあがる。

お会計をすると、玲くんが見送りに外に出てきてくれる。


「夏帆ちゃん夜道危ないから気をつけてね。また飲みに来て」

「うん、また今度ゆっくり来る。」


そう言って手を振ると、バーから離れていく。

本当、今更嫉妬とかそんなの無いのに、

何であいつの過去の女性関係がこんなに気になって仕方ないんだろう。
< 112 / 222 >

この作品をシェア

pagetop