執拗に愛されて、愛して
「…何かあったろ」


態度に出したつもりは無いのに、私の隣に寝転んでそんなふうに問いかけてくる。


「な、何で?」

「夏帆が悩んでる時わかりやすいんだよ。話してみ」


ああ、本当ずるいな。

普段は自己中心的に回ってて、揶揄ったりもしてくるけど、私が本気で悩んでたら絶対気付いてくれる。

だからいつも嫌いになりきれない。


「…転勤になりそうなの、1年か2年」


私の言葉に雅の表情が明らかに変わった。

そりゃそう、だよね。

大人になったから遠距離が耐えれる様になったとかそんなのない。


「…そっか」


それだけ呟くと雅は既に話す事すらも諦めた様な顔をしていた。


「行くんだろ?仕事、頑張ってたもんな。」


なんて、そんな決めつけた様な言葉も吐いてくる。

どうして、私があんたの事と転勤で悩んでるって分からないわけ。
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