執拗に愛されて、愛して
「婚約とかそんな大それた話じゃないけど、このくらいは良いかなって」


雅が私の右手に右手でギュッと握ると薬指に同じデザインの物がついている。


「えええええ」


驚いて動けずにいると、雅は少し笑って私を新幹線に乗らせる。


「それ外すなよ、他の男に見せつける用だから。もうこの女は他の誰かのもんだって。」

「…独占欲すごすぎ」

「なんとでも言えよ、悪くないって思ってるくせに」


私も図星だから何も言えない。

恥ずかしくなって新幹線に乗り込むと少しして新幹線のドアが閉まる。

最後くらい笑ってと、笑顔で手を振ると雅も振り返してくれた。

少しくらい寂しいって思ってくれてる?

この気持ちが私だけじゃありませんように。
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