執拗に愛されて、愛して
「え、俺も夏帆ちゃんの連絡先知りたい。教えて」


そう言いながらスマホを出してくる玲くんに、私もスマホを出して連絡アプリのQRコードを出す。

それを読み取ってもらって、玲くんの連絡先が入ってきた。


「やった、これで俺も連絡できるね」

「うっ」


眩しい笑顔とあまりの可愛さに思わずときめく。

疲れた心のオアシス。

きっと最近このイケメン達に癒されるために仕事頑張ってる。


「夏帆ちゃんどうしたの?」

「いつもの発作、放っとけ」


そう雅が言っていたけど実際その通りなので何も否定できず言われるがまま。

それよりも、私もここには週1で通っていて雅との気まずい空気感も解消されてきていた。このタイミングでそろそろ聞いても良いかと聞きたかった事を思い出す。


「そう言えば聞きたかったんだけど、雅地元離れて就職してたよね。何があって急にバーなの?」


そんな疑問を雅に問い掛けると、少しだけこちらに視線を移して煙草に火を付けている。


「玲が自分で店建てたからそこでスカウトされて入り込んだ。営業職楽しかったけど俺にはこっちのがあってたっぽいわ」


そう言いながら煙草を蒸している。

そうだ、元々は営業だと聞いていたし、こんな様子じゃ今は想像もつかないかもしれないけど仕事はかなり一生懸命やっていた。

だから辞めて地元に戻ってきていたのが、どうしても私からしたら不思議だった。

玲くんが誘ったと聞けばなんとなくそこは納得だけど、このお店が玲くんのお店という事実の方が驚きだった。


「え、ここ玲くんのお店なの?」

「うん、割と新しめの店なんだけどね。」


玲くんの言葉に「ええ!?」と素で驚いてしまう。

確かにいつも2人しか居ないなとは思っていたけど。


「(28歳で自分のお店すごすぎない?)」


お世辞抜きでその若さにしてお店を持って経営する力に尊敬でしかない。
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