執拗に愛されて、愛して
Episode6

遠距離終了

『俺、もう会いに行くの止めるわ』


そう言われたのがあの年末年始終えた3日後の電話。


「は?」


突然の思わぬ発言に耳を疑った。

何で急に会いに行くの止める宣言?

この男が急に何かを決めつけて言う事は多々あったけど、今回のだけは理由もわからなければ、そんなことを言われる当たりも付かないため、強く困惑した。


「…ちなみに理由は?」

『そろそろ遠距離も終わるしそんな何回も会いに行く必要ねぇかなって』


至って普通の声だ。

前までは会いたかったから喧嘩を理由に来たとか言ってたのに。

もう一度付き合ってもうすぐ2年ほど経つけど、遂に冷められてきた?

この間あんなに重たい事言ってたくせに?

分からない、この男が。

それと同時にかなり腹が立ってくる。

この男はどれほど私を振り回せば気が済むのかと。


「…あ、そう。じゃあ連絡ももうこれっきりでいいわね」

『あ?いや、何でそうなる?』


自分から言い出して来といて強い困惑の色を感じた。

本当身勝手な男。いつまでも私が振り回されると思っていたら大間違いだ。


「別に、深い意味は無いんじゃないの?それじゃ、元気でね」


それだけ告げると電話を一方的に切る。

意味のわからない理由で急に会いに行くの止めるって言われたんだ。

それにとことん乗っかろうじゃないの。

この時の私は本気で腹が立っていた。
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