執拗に愛されて、愛して
『あいつがああいう飲み方する時って大体夏帆ちゃん関連なんだよね。』


私の事でやけ酒?たまに飲み過ぎてしまう事は聞いたことあるけど、毎度その原因が私だって言う事?

よくわからない雅に一言言わないと気が済まない。


「…玲くん、雅に変わって」

『ん、ちょっとまってて』


落ち着いた声の玲くんがそう言うと『雅、君宛てだよ』と言いながら電話を押し付けてるところらしい。

雅の声も聞こえて『は?誰』と不機嫌な声が聞こえてる。


『君が声聞きたい人じゃないの』


しばらく沈黙の後『もしもし』と雅の声が聞こえた。

その声は随分不機嫌で何も話したくなさそう。


「…やけ酒してるって?」

『別にやけ酒なんてしてねぇよ。てか、話すのあれっきりなんじゃなかったの』

「随分子供みたいな事言うのね。もうすぐ30になるのに」


そう言って笑うと電話の奥の雅は何も言わない。

自分でも大人げない自覚はあるんだろう。
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