執拗に愛されて、愛して
大学時代は返ってこなくても夏帆がわかってくれてたらって思ってた。

だけど実際は伝わって無くて。

だから同じ気持ちまで堕とすのが一番手っ取り早い。

俺も変な我慢を強いられていて深く溜息を零す。


「雅くん、こっちで飲もうよ」


客に声をかけられて、今日も臭い香水を振りまいている女の方を見る。


「いいよ、奢ってくれるなら」

「そのくらい良いよ、好きなの頼んで」


甘ったるい声で俺を誘惑しているつもりなのか全くそそられない。

浮気なんてできるわけ無いんだよ。

1回手元に入っちゃったらアイツ以外で満足なんてできるわけ無くて。

何もわかってない、夏帆は。
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