執拗に愛されて、愛して
───Side 夏帆


年末年始から半年後の6月。

梅雨入りもしてジメッとした暑さにオフィス内も冷房が入るようになって、そんなオフィスで冷たい飲み物を飲みながら仕事していた。

本当に宣言通り雅とは会ってないし、連絡すら取っていない。

玲くんとは定期的に連絡を取っているからどんな様子とかは聞くけど。

前回の遠距離以上に連絡もしてないのに、前回とは違って好きの気持ちが色濃く出ていた。

前回は不安や焦燥感で一杯だったのに。

今は寂しさとかそんなの抜きに離れる選択肢が出てこなくなった。

何で…?歳取ったから?

そう思うと少しだけ複雑だけど、何はともあれ別れていないと思う。

SNSは時々見るけど、雅の楽しそうな投稿はたまに流れてくる。

それを眺めては、溜息を吐いてビール缶を飲み干す生活。

というか、大学時代はあんなに私との投稿出してくれていたのに今は友達とかお店のことばかりで私のことは全く上がってない。

たまには投稿してくれたって良いのに。

学生みたいな気持ちでそんな事を思っていたけど、ぶんぶんと首を横に振ってそんな気持ちを払拭する。

仕事中に何考えてんだろ私。

どこかのお店に入っても、これ雅が好きそうとか、これ似合いそうとか、こんな話したいとか頭から離れないし。

いつ会えるかも分からなくて正直かなり不安定ではあった。

もうすぐ雅の誕生日も来る。

その日ですら会いに行ったら何しに来たとか言われそう。

自分はあんなサプライズしといて。

深く溜息を零すと周りがこっちを見ている。


「…あ、ごめん。溜息うるさかった?」


口元を手で抑えると、女性社員が首を振っている。
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