執拗に愛されて、愛して
親のこの手の相談毎度断るのも面倒だし、だからと言って良い人が居ると言うと会わせろと言われかねない。


「…本当に今は忙しいから待って。また顔出しに帰るから、ね?」

『あんたはまたそう言って…。本当ちゃんと考えなさいね』

「うん」


そんな話をして電話を切る。


「(休みなのに変なストレス溜まっちゃった。)」


時計を見ると午前11時。

何だかストレス発散したいけど、1人で今から出掛けるのもつまらない。

そう考えた時に何となく、雅の事を思い出した。

あの男なら気を遣わなくて良いし、楽しく一緒に過ごせそう。

そう考えながらスマホの連絡先を開いて雅に電話を掛ける。

流石にまだ寝ているかもとは思ったけど、気にせずコール音を鳴らし続けた数コール後、ようやく長いコール音が止む。


『…はい』


出るなり思い切り掠れた寝起きの声が聞こえた。

今日の夜中まで仕事して帰ってきて寝ていた所だろうと容易に想像はついたけど、起こしてしまったしここでは引きたくない。


「おはよう、暇でしょ?」

『一言目から失礼な女だな、暇じゃねぇよ。今日も仕事』


まだ眠たそうで不機嫌そうな声に少し笑ってしまう。
< 20 / 222 >

この作品をシェア

pagetop