執拗に愛されて、愛して
1時間ほど経って、私の目の前に寝坊した男が座る。


「1時間も待たせる?普通」

「悪かったって。寝れなかったんだよ」


そう言いながら店員にコーヒーくださいと頼んでいる。


「当たり前にここあんた持ちだから」

「はいはい、仰せのままに」


そう言いながらあまり合わなかった目がようやく合う。

それから雅はふと笑みを零す。

その優しくなる表情を見て、全て許せてしまうの。

本当に、ズルい。


「おかえり」

「…ただいま」


久しぶりに会えて嬉しいのにそれを表現する方法を知らない。

なんだか擽ったい雰囲気にたまらなくなる。


「てかしばらく見ない内にまた綺麗になったんじゃね」

「痩せたからかしらね」


自分で思い当たる節はないけど多少の減量に成功していたのでそれかも知れない。
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