執拗に愛されて、愛して
「もう痩せなくてよくね?抱き心地最高なのに」

「はっ倒す、本当」


会ってそうそうこんな会話なのも私達らしいといえばらしい。

むしろ安心感すらある。


「今日休み取ったから一緒に居れるよ、この後」

「…あんた誕生日だもんね。」


そう言って用意していたプレゼントを目の前に出す。

少し驚いた顔をしてそのプレゼントを手にしている。


「は?なにこれ」

「開けてみれば?」


そう言うと中を取り出している。

用意したのは革製のキーケースと、おそろいのシンプルなデザインのブレスレット。

私の左手首に着いている存在に気付くのかは知らない。

今までお揃いのアクセサリーとか貰ったけど、私もそんな独占欲に乗っかっても良いんじゃないかと思って用意してみた。

落ち着かなくてアイスティーに口を付けると、雅が優しい手つきでブレスレットに触れている。


「へー、おそろいとかそんな可愛いこと出来たんだ」


気付いていたらしく目線は私の左手首に向いている。


「…ただの気まぐれよ」


そう呟いて、キーケースの方にも目をやる。

デザインが可愛くてそれもお揃いとか言えない。

重たいとか言われたくもないし、また同じ家に住めるようになるから浮かれてとか理由も理由だし。

もう三十代近いのに恥ずかしさもある。
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