執拗に愛されて、愛して
「また外で女の人とキスしてたりして」


再会した時の懐かしい話を出すと玲くんは笑っていた。

忘れもしない。

ふらっと入ったバーの横の路地裏で客とキスしていた雅。

まさか知り合いだともここの店員だとも思ってなかったら、元彼の雅で。

再会の仕方がおかしくて仕方ない。

笑えてきた。


「本当、夏帆ちゃんよく雅と結婚したよね」

「ね、私もそう思う。それに雅執拗かったしね」

「あんなにわかりやすくなれる雅見るの初めてだったから俺は楽しかったけどね」


思い出を話せばどれも酷い話ばっかり。

綺麗な思い出なんてなにもない。

本気で好きにならないと思ってた。

いつの間にか絆されてたけど。

ドアが開くのを見れば気だるげに入ってくるうちの旦那の姿。


「来てたの」

「悪い?」

「毎度悪いとか言ってないだろ、勝手に来たら良いじゃん」


こんなツンケンしてるけど家に帰れば甘えぐせのある雅。

家での一面を知っているから腹も立たない。


「…何」

「別に?」


本人は無自覚だし面白いから黙っておこうと思う。


「何の話してたわけ?2人で楽しそうに」


相変わらず私が誰かと何かをするのが気になるのか、そんな質問を投げかけてくる。
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