執拗に愛されて、愛して
1時間半後、ナビに表示されている雅が住んでいるマンションに歩きで来た。

意外と家が近くて驚く。

下のオートロックを開けてもらう為にインターホンで雅の部屋を呼び出すと、開錠されて指定の部屋の前まで進む。

部屋のインターホンをもう一度押すと、ドアが開く。


「おはよ」

「…服は着てから出てきなさいよ」


上半身裸で扉を開けられて少しギョッとした。

私だからって気抜きすぎでしょ、この男。

無駄に華奢なのも驚くし、本当に心臓に悪いのでやめていただきたい。


「別にお前だから良いじゃん。上がって」


そう言われて家の中に入ると、シンプルな部屋で物はほとんど無い。

綺麗にされた部屋に大学時代と変わらないものを感じる。


「てか、すごい綺麗にしてんじゃん。俺のため？」


そう言いながら私のセットした髪に軽く触れる。


「おしゃれが好きなだけであんたのためじゃない。というか、服選んで良い？」


女性に触れるのに手慣れた感じで触れてくる手をパシッと音を立てて払う。

綺麗にセットした髪に易々と触れてくるなと思いを込めて、少し強めに叩いてしまった。
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