執拗に愛されて、愛して
「お姉さんのお名前ともし失礼じゃなければご年齢聞いてもいいですか?あ、聞くのがそもそも失礼かな」

「いえ、そんな。夏帆です、26歳。」

「…夏帆さん、ですか。地元この辺ですか?」

「いえ、地元は違うんですけど大学がこの辺りで」


玲さんが「そうでしたか」と柔らかい笑顔で返事をしてくれる。

私の名前を聞くなり、地元の事を聞いてくるって私の名前に聞き覚えでもあったのだろうか。

少し違和感を感じる反応ではあったが特に気にしないことにした。

それはそうとここのバーは、お客様が他にも居るのにこうやって話に付き合ってくれる。


「(楽しい…。)」


バーでこんな風に誰かと話して出会いがあった事なんて無かったから、それだけで凄く良い日になった。


「俺は、(れい)です。相原(あいはら) 玲。」


そんな風に微笑まれると目の保養すぎて心の中で涙を3回ぐらい流した。

上層部の顔を気遣って見た後の目に沁みる。

ここ通っちゃおうかな。

店の雰囲気が良い、お酒が美味しい、バーテンダーが美男子、これだけで通いたくなる理由が揃っている。

というか、通わない理由が無い。


「玲さん」

「全然仲良くなりたいので砕けた話し方でも。俺もいいですか?」

「あ、もちろん!」


もちろん営業トークだと思うけど嫌な感じが全くしない。

雰囲気が柔らかいから?

あまり人に距離を詰められるのが好きでは無いが、玲さんは嫌じゃないと感じた。
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