執拗に愛されて、愛して
「ってなわけ」


事の流れを話すと玲くんは「へー」と言いながらお水を口に流し込んでいる。


「あーあ、俺可哀想」

「あんたが大元変わって無くてその頃から手癖酷かったの思い出したわ。女遊びはやめてただけだったのね」

「お前ね、20歳のガキの俺がどんな思いでお前を口説いたと思ってんの。あの頃は焦ってたの。」


そう言いながら隣でグラスを掴みながら呆れ笑いをしている。


「結婚とか迫って逃げられた挙げ句今もこの扱い、俺不憫すぎ」

「自分で言えるなら元気ね」


顔に引っかかったあの頃の子供の私に今ならこいつはやめときなさいって助言できる。

そしてもし再会したらすぐさま逃げなさいも言う。

顔がタイプだと思ってしまうと何でも好きに見えて危険。


「今からあんたの顔をボコボコにしたら良いのか」

「何だお前、発想がヤクザかよ」


その綺麗な顔に騙されてどれほどの女が泣いたか。
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