執拗に愛されて、愛して
「遅い、雅。」


玲さんが名前を呼ぶのを聞いて確信した。

黒崎《くろさき》 雅《みやび》。

大学時代の元彼。

3年も付き合っていたから、その顔も名前も間違えるわけがない。

最後の1年は遠距離で、会ったのももう5年前だけど。

容姿や雰囲気は見た所何も変わってない、唯一変わったとすれば大人の色気が増した様な感じがする。


「夏帆?」

「…」


私の名前を驚いた様に呼ぶ雅に返事が出来なかった。

こんな形で会いたくなかった。

何でこっちにいるの。

大学の時、こっちを出ていってからもう居ないと思っていた。

驚きと複雑な気持ちで何も言葉は出てこない。
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