執拗に愛されて、愛して
朝、目が覚めて起きると優しく腕枕をされて抱きしめられた状態で寝ていた。


「あ、起きた。」


雅の方が先起きていたらしく、優しく髪を撫でられている。


「⋯起きてたの?おはよ」

「おはよ、てか寝てない。仕事夜からだし、寝れなくて起きてた」


腕の中から抜け出してベッド脇に落ちている自分の服を拾って身に着ける。


「どうすんの?自分の家に帰る?」


そう話し掛けると雅も体を起こして少し頭を搔く。


「めんどくさ」


面倒臭いって。いずれ家に帰んなきゃ行けないのに。


「鍵置いていくから帰る時ポストにでも入れといて。」

「え、合鍵くれんの?」

「人の話聞きなさいよねアンタ。」


相変わらずの会話に少し一息を吐いて仕事の準備をする。

今日はどんなヘアセットにしようかな。

この用意する瞬間も実は嫌いじゃない。
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