執拗に愛されて、愛して
シャワーや洗顔、着替え、メイクなどを済ませて、髪ゴムを持って少し悩む。


「あ、結ばない方がいいよ今日」

「は?何でよ」


ベッドから話しかけてくる雅に問いかけると、首の後ろを刺している。


「マーキングしといた」


思わず首の後ろを手のひらで抑える。

なんて微妙な位置に!

というかそんな形で人の楽しみを奪っていくなんて!


「何してくれてんのよ」


仕方なくヘアアイロンを持ってきて今日は巻くだけに抑える。


「割り切った関係でいいとは言ったけど、浮気とか誰かに目つけさせたくないし。夏帆が自由にする分俺も好き勝手やるから。」

「あんたじゃあるまいし誰彼構わず行かないわよ。言ったでしょ、今から1から関係性作ったりするの面倒だって」


そう言いながらヘアアイロンの電源を落として、仕事の物を入れているバッグを手に取る。


「あ、家に居てもいいし、鍵も自由にしていいけどきちんと戸締りだけしてね。私はもう出るから」


それだけ言い残して玄関に向かうと、上半身裸の雅が後ろを着いてくる。


「⋯何?」


肩を掴まれてそのまま軽く触れるだけのキスをする。


「行ってらっしゃい」


本当にカップルみたいなやり取りに思わず恥ずかしくなる。


「⋯行ってきます。」


それだけ言うと家を出て、ドアを閉めて鍵も閉める。

付き合おうが付き合わなかろうが危険すぎる!
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