続きは甘く優しいキスで
私と拓真の会話を耳にして、清水が眉をひそめた。

「ちょっと待った、なんだか重い話みたいじゃないか。やっぱ俺は遠慮した方が……」

しかし清水も私が信頼する一人だ。私は彼を引き留めた。

「清水さんも、もしも嫌じゃなければ一緒に聞いて下さい」

私の言葉に清水は躊躇する。

「え、俺がいても大丈夫なの?」

「はい。巻き込んでしまうかもしれないんですけど……」

少し考えるように清水は目線を宙に飛ばしたが、私を見て頷いた。

「碧ちゃんが構わないっていうなら、話、聞かせてもらうよ」

「ありがとうございます」

「史也、梨都子、俺、ちょっと戻るよ。悪いけど、碧ちゃんの話、よく聞いといてくれ。後で教えて。碧ちゃん、拓真君、一緒に聞いてやれなくて悪いな」

「いえ、とんでもない。引き留めてしまって、すみませんでした」

私は池上に頭を下げた。

仕事に戻って行く池上の背中を見送ってから、清水は梨都子の隣の椅子に腰を下ろした。

「あのさ、先に一つ確認していい?」

「なんでしょう」

清水は腕を組み、私たちの顔をしげしげと見ている。

「二人して名前で呼び合ってるなぁ、って思ってね。こないだ会った時には、確か同僚って聞いたと思ったんだけど、今日はあの時以上に親密な感じがする。もしかして二人、付き合ってるの?碧ちゃん、あの過保護な彼氏と別れたのか?」

「それはですね……」

言いかける私をそっと目で制して、拓真が口を開く。

「池上さんたちはもう知ってるんですが、俺たち、学生時代に付き合ってたんです」

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