続きは甘く優しいキスで
「その時は、彼女のその友達が久しぶりに遊びに来ることになって、彼氏も一緒だからっていうんで、俺もわざわざ連れて行かれたんだ。二人が別れた話を彼女から聞いたのは、その飲み会からしばらくたってからだったと思う」
清水は私に気遣うような目を向ける。
「――別れの理由は束縛だった。それだけじゃない。その男にとって何か気に食わないと思うことがあった時には、彼女に対して色々とひどいことをしていたらしい。細かいことを全部聞いたわけじゃなかったけど、その時印象に残った一つが、行為中に体中を噛んだりするってやつだった」
清水の顔が嫌悪で歪む。梨都子に至っては、もしも本人が目の前にいたら殴りかかっているんじゃないかと思えるほど、物騒な顔をしていた。
「そんなんじゃ、そりゃあ別れたくなるよ。大事にされてるとは到底思えないもんな。その子はその時のことがトラウマになってしまって、一時期は心を病んでしまったそうだよ」
私はごくりと生唾を飲み込んだ。清水の話のその子と自分が重なる。
「その話には続きがある。実は彼女、男の会社の取引先の、お偉いさんの娘さんだったそうでね。娘が心を病んだのはその男が原因だっていうんで親御さんが激怒して、色々あって、結果的に会社に迷惑をかけた形になったらしい。当然居ずらくなるよな。男は会社をやめたって話だった」
清水はそこで話をやめて、手元のグラスに手を伸ばして喉を湿らせた。
今の話が事実なら、太田はその後うちの会社に転職してきたことになる。そのトラブル話がなぜ伝わってこなかったのか気になるが、業界が違うし、他県からの転職だったから、そこまでは情報収集できなかったのかもしれない。
清水は私に気遣うような目を向ける。
「――別れの理由は束縛だった。それだけじゃない。その男にとって何か気に食わないと思うことがあった時には、彼女に対して色々とひどいことをしていたらしい。細かいことを全部聞いたわけじゃなかったけど、その時印象に残った一つが、行為中に体中を噛んだりするってやつだった」
清水の顔が嫌悪で歪む。梨都子に至っては、もしも本人が目の前にいたら殴りかかっているんじゃないかと思えるほど、物騒な顔をしていた。
「そんなんじゃ、そりゃあ別れたくなるよ。大事にされてるとは到底思えないもんな。その子はその時のことがトラウマになってしまって、一時期は心を病んでしまったそうだよ」
私はごくりと生唾を飲み込んだ。清水の話のその子と自分が重なる。
「その話には続きがある。実は彼女、男の会社の取引先の、お偉いさんの娘さんだったそうでね。娘が心を病んだのはその男が原因だっていうんで親御さんが激怒して、色々あって、結果的に会社に迷惑をかけた形になったらしい。当然居ずらくなるよな。男は会社をやめたって話だった」
清水はそこで話をやめて、手元のグラスに手を伸ばして喉を湿らせた。
今の話が事実なら、太田はその後うちの会社に転職してきたことになる。そのトラブル話がなぜ伝わってこなかったのか気になるが、業界が違うし、他県からの転職だったから、そこまでは情報収集できなかったのかもしれない。