続きは甘く優しいキスで
「梨都子さん、清水さん、もう私のことでそんな顔しないで下さい。皆んなのおかげで勇気というか、元気が出ましたし。それにすごく心強いっていうか」

「それならいいんだけど……」

清水と梨都子はようやく表情を和らげた。それから、清水はスペアリブに、梨都子はピザに手を伸ばす。話の途中、池上がそっとテーブルに置いて行ってくれた料理たちだ。

やや冷めてしまっただろうに、梨都子はピザを美味しそうに頬張って味わうようにもぐもぐと口を動かす。ごくんと飲み込んでから、思い出したように言った。

「参考までに聞きたいんだけど、もしもうちで碧ちゃんを泊められないって断ってたら、どうなってたわけ?」

私はちらっと拓真を見てから梨都子に答えた。

「今夜はひとまずその辺のホテルにでも泊まって、この土日でどこかウイークリーを探して、見つかり次第そこに移ろうかなって思ってましたけど」

「え、そうなの?」

驚いたように梨都子に訊ねられて、拓真が苦笑しながら頷いた。

「そうなんです。けじめだから、と」

「けじめねぇ……」

梨都子は小首を傾げて私を見た。

「いずれにしても、もしうちがダメだったら大変だったかもね。だってあんまり遅い時間だと、ホテルを探すのも大変だっただろうし、今日は週末だから部屋なんか埋まってるでしょうね」

「そうなんです。だから、梨都子さんがいいよって言ってくれて、すごく助かったって思ってるんです」

「そうなの?」

梨都子はにこっと笑った。

「それにしても碧ちゃん、北川さんがいてくれて本当によかったわよね。それでね……」

梨都子が申し訳なさそうな顔をする。

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