続きは甘く優しいキスで
嘘ではないことが伝わるようにと、私は大きく頷いた。
「本当よ」
拓真はふうっと息を吐いてようやく頬を緩めたが、何らかの決意を固めたような顔をする。それから私の顔をのぞき込んだ。
「碧ちゃんの気持ちが落ち着くまでは、夕べ以上に触れないって約束する。だから俺の傍で眠ってくれないか」
そこまで言ってくれる拓真に、私は頷くのをまだためらっていた。
彼は静かに私の返事を待ってくれている。
私の迷いの理由は、彼の傍が嫌だからではないのだ。むしろその逆だった。
彼のベッドを占領するのは申し訳なく、だから一人でソファで寝ようと思ったのは本当だ。けれど心のどこかで、彼の傍で眠りたいという気持ちが確かにあった。もっと言えば、彼にならば触れられても構わないと思っていた。
昨夜のホテルでの拓真は、ただただ私の髪を撫でてくれた。嬉しいと思う一方で、それが彼の気遣いと優しさだと分かっていても、少し残念に思ったのも事実。今夜こそはなどと思っているわけではないけれど、必要以上に触れないと言った彼の決意を少々恨めしくも物足りなくも思う。
しかし、彼の部屋に置いてもらうことになったのは、事情があってのこと。そんな状況で自ら触れてほしいと思っているなんて、それを知ったら彼は私を軽蔑するのではないか。
私は悶々とする。
でも、本当は、やっぱり。できることなら、彼の唇で、手で、これまでの嫌な記憶と嫌な痕のすべてを完全に消してほしい。上書きしてほしい。再び彼と恋人同士になった今、心だけではなく、今度こそ体も彼のものにしてほしい。今夜一緒のベッドに入ってしまったら、きっと私の中に渦巻くそれらの葛藤を彼に気づかれてしまう。
「本当よ」
拓真はふうっと息を吐いてようやく頬を緩めたが、何らかの決意を固めたような顔をする。それから私の顔をのぞき込んだ。
「碧ちゃんの気持ちが落ち着くまでは、夕べ以上に触れないって約束する。だから俺の傍で眠ってくれないか」
そこまで言ってくれる拓真に、私は頷くのをまだためらっていた。
彼は静かに私の返事を待ってくれている。
私の迷いの理由は、彼の傍が嫌だからではないのだ。むしろその逆だった。
彼のベッドを占領するのは申し訳なく、だから一人でソファで寝ようと思ったのは本当だ。けれど心のどこかで、彼の傍で眠りたいという気持ちが確かにあった。もっと言えば、彼にならば触れられても構わないと思っていた。
昨夜のホテルでの拓真は、ただただ私の髪を撫でてくれた。嬉しいと思う一方で、それが彼の気遣いと優しさだと分かっていても、少し残念に思ったのも事実。今夜こそはなどと思っているわけではないけれど、必要以上に触れないと言った彼の決意を少々恨めしくも物足りなくも思う。
しかし、彼の部屋に置いてもらうことになったのは、事情があってのこと。そんな状況で自ら触れてほしいと思っているなんて、それを知ったら彼は私を軽蔑するのではないか。
私は悶々とする。
でも、本当は、やっぱり。できることなら、彼の唇で、手で、これまでの嫌な記憶と嫌な痕のすべてを完全に消してほしい。上書きしてほしい。再び彼と恋人同士になった今、心だけではなく、今度こそ体も彼のものにしてほしい。今夜一緒のベッドに入ってしまったら、きっと私の中に渦巻くそれらの葛藤を彼に気づかれてしまう。