続きは甘く優しいキスで

19.続きがほしい

リビングの灯りを消した拓真は、私に続いて寝室に入った。間接照明に使っているらしいスタンドライトをつけてから、私にベッドを示す。

「セミダブルだし大丈夫だとは思うけど、落ちないように念のため、碧ちゃんは壁側に寝た方がいいかな」

「ありがとう」

私は礼を言って、大人しくベッドに体を横たえた。

それを確かめてから、拓真もまた掛布団の中に体を滑り込ませ、行儀よく仰向けになった。

「灯り、大丈夫?明るすぎたりしない?」

「大丈夫よ。ありがとう」

「ん。じゃあ、おやすみ」

「おやすみなさい……」

拓真に答えて私は目を閉じた。しかし、さっさと寝てしまえばいいなどと思ったくせに、昨夜と違ってなかなか寝付けなかった。

夕べの場合は疲れもあっただろう。すべてを彼に打ち明けて安心したということもあるだろう。彼にくっつくようにして横になってはいても、すんなりと眠りにつけた。しかし今は、うるさい鼓動の音が睡魔を遠ざけている。それに、今自分がいるのは拓真のベッドなのだと急激に意識されてしまって、先ほどの悶々とした葛藤が頭の中に浮かび上がってきてしまった。おかげで余計に目が冴えてしまう。

早く眠らなきゃ――。

焦りながら私は眠りにつきやすそうな体勢を探ろうとして、ひとまず壁側を向いてみようかともぞもぞと身じろぎした。

私の動きに反応して拓真が目を開けた。

「もしかして眠れない?」

「ご、ごめんなさい。眠る邪魔しちゃったよね」

拓真が顔を私の方に向けた。

「邪魔なんてそんなことはないけど。……碧ちゃん」

私の名前を呼ぶ彼の声が間近に聞こえて、どきりとする。

「な、なに?」

掛布団を首まで持ち上げながら私は彼を見た。
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