続きは甘く優しいキスで
拓真と初めて体を交わし合った翌朝は、私の方が彼よりほんの少しだけ早く目が覚めた。

彼を起こさないように注意深くベッドから出ようとしたが、実は目覚めていたらしい彼の手にベッドの上に引き戻される。

「きゃっ!」

驚いて目を閉じると、すぐ耳元で拓真が囁く。

「おはよう」

「お、おはよ……」

「優しくしたつもりだったけど、体は大丈夫?」

朝からこんな会話は恥ずかしい。私は小声で答えた。

「……大丈夫よ」

「それなら良かった」

拓真はほっとしたように言って、私を後ろから抱き締めた。

「このままこうやって碧とだらだらしたい気分」

昨夜のあの時、あの後から、彼の私の呼び方がちょっとだけ変わった。そのことは、彼にとって自分が一番近い存在になった証のようで嬉しい。

「でも今日は約束してるから」

「そうだな。ま、もう少し清水さんに聞いておきたいこともあるし」

「聞いておきたいこと?」

「ん、こっちの話。のんびりするのは明日にとっておくか」

拓真はにこっと笑い、ベッドから出た。

「碧は先にシャワーしてきたらいい。その間に朝食の準備、しておくよ」

「それなら私が」

「明日からお願いするよ。ってことで、タオルはそこの棚から出して使ってくれる?」

「でも……」

拓真は悪戯っぽい目をして笑った。

「昨夜の名残、流しておいで」 

「っ……!」

恥ずかしさで真っ赤になった私に拓真はキスをすると、寝室から出て行ってしまった。

昨夜の甘すぎるひとときを思い出すと、朝だというのに脚の間がじわりと潤い出しそうになる。それだけ私の心も体も彼で満たされていた。

「と、とにかく。お言葉に甘えてシャワーしよう」

私は頭を切り替える努力をしつつ、拓真に教えられた棚からタオルを取り出した。 
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