続きは甘く優しいキスで

20.週明けて

久しぶりに穏やかな気持ちで、私は二日間の週末休みを過ごした。

一日目は梨都子たちとの約束通り、清水の運転で隣県まで行き、買い物とちょっとした観光を楽しんだ。梨都子たちから「お邪魔だったかしら」などとからかわれてしまうくらい、私は拓真と一緒の外出が嬉しくてちょっぴりはしゃぎ気味だった。

二日目はのんびりと起き、のんびりと朝食を済ませた。その後もやはりのんびりと二人で掃除をしたり、洗濯をしたりと、恋人と一緒にいるという非日常の中における日常を過ごした。午後になってからは、彼が近くのスーパーで買い込んできた食材やらを使って二人して料理した。早めの夕食をゆっくりと取り、食後にはソファに並んで座り、大画面のテレビで映画を見て過ごした。

この休日の夜、私たちは先日のように肌を重ね合うことはなかった。私は構わないと思っていたけれど、拓真はキスしかしなかった。

私の顔に物足りなさでもにじんでいたのだろうか。拓真は苦笑いを浮かべた。

毎日のように抱いてしまったら、碧に溺れて他のことを何も考えられなくなりそうだから――。

そんなことを言って、彼は大切なものにでも触れるような優しさで、私の額に、頬に、いくつものキスを落とした。

たったそれだけの軽いキスだったけれど、それは温かくて優しくて、そこに拓真の私への想いが詰まっているように感じられて、胸がいっぱいになった。彼が本当に私を愛してくれているのだという安心感に包まれながら、私は彼の隣で眠りについたのだった。
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