続きは甘く優しいキスで
「また呼ばれてるぞ」
「……行ってきます」
斉藤に促されて、私は急いで立ち上がりカウンターに向かった。注文したパスタのランチセットを手に、できる限りの急ぎ足でテーブルに戻った。
「はい、バッグ。俺も呼ばれたから、取りに行ってくるわ」
太田は私にトートバッグを返してよこすと、注文の品を取りにカウンターに向かった。
斉藤は太田にちらりと目をやり、続いて私を見て、心配そうな顔をした。
「なぁ、笹本。やっぱり何かあったんだろ、太田と」
サラダをつついていた手が止まる。
「いえ、別に何も……」
「俺さ、これでも口は堅いぜ。少なくとも俺の目には、笹本が太田を怖がっているように見えるんだけどな。違うか」
「え……」
「まぁ、今は聞かない。さっき言った、例の飲み会での話もあるからな。何かあったら相談しろ」
今までも斉藤のことは頼れる先輩だと思ってはいたが、こんな風に言ってもらえて心底ありがたく思う。
「ありがとうございます」
「二人して何の話をしていたんだ?」
トレイを持って戻って来るなり、太田は私たちの顔を交互に見ながら訊ねる。笑顔を作ってはいるが、目は笑っていない。
斉藤がのんびりした口調で答えた。
「今度の就職ガイダンスの話をしてたんだよ。今年もそろそろ資料を作る時期が来るなぁ、ってね。結構量があるから、大変なんだよな」
「もうそんな時期なのか。早いな」
「そういや、経理の方は仕事落ち着いたのか」
「あぁ、ぼちぼちってとこかな」
斉藤の話に乗って会話を交わしている太田の声を聞き流しながら、私は黙々とフォークを動かしていた。
早く食べて自分の席に戻りたい――。
「……行ってきます」
斉藤に促されて、私は急いで立ち上がりカウンターに向かった。注文したパスタのランチセットを手に、できる限りの急ぎ足でテーブルに戻った。
「はい、バッグ。俺も呼ばれたから、取りに行ってくるわ」
太田は私にトートバッグを返してよこすと、注文の品を取りにカウンターに向かった。
斉藤は太田にちらりと目をやり、続いて私を見て、心配そうな顔をした。
「なぁ、笹本。やっぱり何かあったんだろ、太田と」
サラダをつついていた手が止まる。
「いえ、別に何も……」
「俺さ、これでも口は堅いぜ。少なくとも俺の目には、笹本が太田を怖がっているように見えるんだけどな。違うか」
「え……」
「まぁ、今は聞かない。さっき言った、例の飲み会での話もあるからな。何かあったら相談しろ」
今までも斉藤のことは頼れる先輩だと思ってはいたが、こんな風に言ってもらえて心底ありがたく思う。
「ありがとうございます」
「二人して何の話をしていたんだ?」
トレイを持って戻って来るなり、太田は私たちの顔を交互に見ながら訊ねる。笑顔を作ってはいるが、目は笑っていない。
斉藤がのんびりした口調で答えた。
「今度の就職ガイダンスの話をしてたんだよ。今年もそろそろ資料を作る時期が来るなぁ、ってね。結構量があるから、大変なんだよな」
「もうそんな時期なのか。早いな」
「そういや、経理の方は仕事落ち着いたのか」
「あぁ、ぼちぼちってとこかな」
斉藤の話に乗って会話を交わしている太田の声を聞き流しながら、私は黙々とフォークを動かしていた。
早く食べて自分の席に戻りたい――。