続きは甘く優しいキスで
私は太田から顔を背けた。
「前にも言ったけれど、私、もう太田さんとは一緒にはいられないの。好きだと言う気持ちは微塵もない。あなたに触れられたくない。嫌なの」
「絶対に別れない」
太田の手に力が込められ、その顔が近づいてきた。
逃げよう、抵抗しようと思っても動けなかった。顔を背けたその目の前に、太田の腕があった。ささやかな抵抗をと考えた私は必死にそこに噛みついた。思ったほど手応えはなかったが、次の瞬間その腕が離れ、少し遅れて頬に鋭い痛みが走った。
「俺に噛みつくなんて……」
太田の目の色が変わったと思った。
私に痛い思いをさせるのは何とも思わないのに、自分は嫌なのね――。
「私に噛みつかれて痛いって思ったの?今くらいので?あなたなんか、嫌がる私のこと、さんざん噛んだりしたじゃない。痛いって言ってもやめてくれなかった。今だってこんな風に叩いたりして」
「うるさいっ」
同じ側の頬に、もう一度太田の平手が飛んできた。その勢いに負けて、頭が壁にぶつかってくらりとする。それなのに、太田はやめるどころかますます激した顔つきで、私の肩をぎゅっと掴んで壁に押しつけた。
「っ……」
「お前は黙って俺の言う通りにして、俺だけを見てればいいんだ。そうすれば、嫌っていうくらい優しくしてやる」
そう言って、太田は自分が叩いた私の頬を、今度は壊れ物でも扱うような優しい手つきで撫で始めた。
全身が粟立つ。
「だから、別れるなんて言うなよ」
その時ドアがバタンと荒々しく開き、足音高く入って来た人がいた。
「碧!」
拓真だった。
「前にも言ったけれど、私、もう太田さんとは一緒にはいられないの。好きだと言う気持ちは微塵もない。あなたに触れられたくない。嫌なの」
「絶対に別れない」
太田の手に力が込められ、その顔が近づいてきた。
逃げよう、抵抗しようと思っても動けなかった。顔を背けたその目の前に、太田の腕があった。ささやかな抵抗をと考えた私は必死にそこに噛みついた。思ったほど手応えはなかったが、次の瞬間その腕が離れ、少し遅れて頬に鋭い痛みが走った。
「俺に噛みつくなんて……」
太田の目の色が変わったと思った。
私に痛い思いをさせるのは何とも思わないのに、自分は嫌なのね――。
「私に噛みつかれて痛いって思ったの?今くらいので?あなたなんか、嫌がる私のこと、さんざん噛んだりしたじゃない。痛いって言ってもやめてくれなかった。今だってこんな風に叩いたりして」
「うるさいっ」
同じ側の頬に、もう一度太田の平手が飛んできた。その勢いに負けて、頭が壁にぶつかってくらりとする。それなのに、太田はやめるどころかますます激した顔つきで、私の肩をぎゅっと掴んで壁に押しつけた。
「っ……」
「お前は黙って俺の言う通りにして、俺だけを見てればいいんだ。そうすれば、嫌っていうくらい優しくしてやる」
そう言って、太田は自分が叩いた私の頬を、今度は壊れ物でも扱うような優しい手つきで撫で始めた。
全身が粟立つ。
「だから、別れるなんて言うなよ」
その時ドアがバタンと荒々しく開き、足音高く入って来た人がいた。
「碧!」
拓真だった。