続きは甘く優しいキスで
「証拠ですか?まず、資料室での一件については証人が二人います。俺と斉藤さんです。それに彼女の顔などには、乱暴された痕も残っています」

大槻の眉間にぐっとしわが寄る。

「ちなみにざっと見た時点でのことではありますが、高階先生は、それらの痕を他人からつけられたものだと判断できると言っていました。さらに詳しく診察すると言っていたので、もしかしたら他にもそう言った痕が見つかるかもしれません。併せて診断書もお願いしてあります。それから、その時の様子は、資料室の監視カメラの映像に残っている可能性が高いと思われます。この後、見せてもらいに行こうと思うんです。太田さん、あなたも一緒にどうですか?その方が色々と話が早いでしょう?」

「監視カメラ……」

太田が呆然としたようにつぶやくのが聞こえた。

大槻が冷静な声で太田に問う。

「太田君、本当のところはどうなんだ」

「私は……」

太田が言葉を濁したのを見て、俺はさらに言葉を続けた。

「ちなみに、あなたが彼女に乱暴を働いたのは、今回のことだけじゃないですよね。それについては本人からも聞いているし、証言してくれる人もいます」

太田が俺を睨みつける。

「周りには言ってなかったが、笹本は俺の彼女だ。俺は彼女を愛している。そんな俺が、彼女に乱暴を働くような真似をするはずがないだろう。今回のことは偶々だ」

「今回だけ?仮にそうだとしても、本当に彼女を愛していると言うのなら、大切なその人の顔を腫れるほど叩いたり、痕が残るほど手首をつかんだり、そんな真似などできるはずがないでしょう」

今回の他にも、これまでさんざん彼女を傷つけるようなことをしていたくせにと、はらわたが煮え繰り返りそうになった。
< 205 / 222 >

この作品をシェア

pagetop